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パラミロンは
医薬品や繊維・化成品などの幅広い分野での活用法が見いだされることが期待されている新素材です

​βグルカンとパラミロンの関係

β-グルカンは病原体関連分子パターン(PAMP)として機能し、自然免疫系細胞の表面に存在するパターン認識受容体(PRR)によって非特異的に認識されることで協力な免疫賦活性があることが知られています(文献1)。βグルカンの代表的な受容体であるDectin1はリンパ球に多く存在し、βグルカンの結合により自然免疫が活性化され、ROSやサイトカイン、ホスホリパーゼ、およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼが産生します(文献2)。
 

パラミロンはEuglena gracilsのみが生産するβグルカンの結晶体であり、パラミロンはパラミロン顆粒や、パラミロンナノファイバーといった異なるβグルカン形態を取ることが知られています。パラミロンナノファイバーはパラミロン顆粒のアルカリ分解によって得られる、パラミロン粒子よりもより小さな9merから10merのβグルカンのユニットです。パラミロンナノファイバーの持つ立体構造はパラミロン粒子の持つ立体構造と異なり、特にそのユニットが小さいことはDectin1がβグルカンを認識するために重要な役割を果たしています(文献3)。

パラミロン粒子とパラミロンナノファイバー

パラミロン粒子とパラミロンナノファイバーの免疫賦活性を評価した研究では、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を用いて炎症関連サイトカイン及びメディエーターの遺伝子発現と関連因子のトランス活性化、及び食作用の活性が評価されました。パラミロン顆粒においては免疫賦活性は未処理の対象細胞と比較して有意な差はなく、パラミロンナノファイバーによって炎症誘発性メディエーターの発現の増加や、PBMCの樹状細胞への分化が観察されました(文献4)。

 

また合成βグルカンとDectin1の相互作用に関する研究では、天然産物および合成(1→3)-β/(1→6)-β-グルカンおよび非グルカンポリマーのDectin1に対する親和性が調べられており、デクチン-1とβグルカンとの相互作用には、少なくとも8つのグルコースサブユニットと1つ以上の完全ならせんターンを含む分岐グルカンポリマーが必要で、さらに、(1→3)-β-D-グルカンポリマー上に単一の(1→6)-β結合側鎖分岐が存在すると、デクチン-1による認識が劇的に増加することが知られています(文献5)。

 

したがって、非アルカリ処理の顆粒とアルカリ処理したパラミロンナノファイバーで免疫賦活性に差が生じる理由は、アルカリ処理によって溶媒和され熱力学的に安定な螺旋状のポリマーを形成することや、(1→6)-β結合側鎖分岐が生じることによるDectin1との親和性が増加することなどが考えられます。